高島 採用担当者向けセミナー
人材不足に悩む中小企業の採用力を強化しようと、高島市で、企業の採用担当者らを対象にした「採用力アップセミナー」が開かれている。参加企業は27日に同市内で合同企業面接会を開く予定で、主催した高島地域雇用創造協議会の担当者は「各社で悩みを共有して解決に結びつけ、市内の労働力活性化につなげることができれば」と話している。(角川哲朗、香山優真)
中小企業の課題、悩み 共有
セミナーは市内に本社や事業所などがある企業が対象で、計4回の連続講座。3日が初回で、講師は、県産業支援プラザ(大津市)内にある「県プロフェッショナル人材戦略拠点」に依頼した。この日は、製造業や建設業、サービス業など各社の採用担当者約30人が参加。新卒や中途採用など近年の採用活動の現状や就活事情について学んだ。
その後、参加者らは五つのグループに分かれて各社が抱える課題や悩みを発表し、意見交換。「求人票を出しても、なかなかほしい人材が来ない」といった声には、同プラザの担当者や参加者が「若い社員に採用活動に入ってもらい、より近い目線で求職者と向き合えば」などとアドバイス。また、「入社後も定期的に面談を重ね、一人一人の声を聞くことで定着化を図っている」という意見も出され、参加者たちは熱心にメモを取っていた。
同市内に工場を持つ京都市の電気機器製造販売会社の担当者は「土日祝日が必ずしも休みではないので、求人を出してもなかなか見てもらえていない」と吐露。「現場の声を採用活動に取り入れるなど、講座で学んだことを生かしてできることから積極的に取り組んでいきたい」と話していた。
参加企業は今後3回にわたって人材確保の方法や人材定着などの具体策を学び、27日の面接会に臨む。面接会は、高島市内での就職を希望する来年3月に大学や専門学校などを卒業予定か40歳以下の人が対象で、同市今津町の今津サンブリッジホテルで行われる。問い合わせは同協議会(0740・25・5731)。
建設・運輸 不足目立つ 支援金活用を
民間調査会社「帝国データバンク滋賀支店」(草津市)が4月に行った調査では、県内企業の43.3%が「正社員が不足している」と回答した。中でも、トラック運転手の残業時間規制に伴う「2024年問題」への対応に迫られている建設業や運輸業で人手不足が目立っている。
調査は4月、中小企業を中心に県内270社を対象に実施。うち105社から有効回答があった。
正社員の人材不足を感じている企業の割合を業種別でみると、コロナ禍が明けて以降、対面での接客が戻ったことなどで人手が足りていない状態が続く飲食店や、旅館・ホテルを含む「サービス」が最も高く、80.0%。2024年問題に直面する「建設」(66.7%)と「運輸・倉庫」(50.0%)と続いた。運転手不足は、関西の物流拠点である滋賀県にとって影響は大きいが、好条件を求めて県外へ流出するパターンも少なくないという。
一方、県内の主力産業である「製造」は28.1%にとどまった。ただ、トランプ関税の影響が及ぶ可能性があり、今後の動向には注視が必要という。
同支店は「人手不足は今後も高まることが予想され、働きやすい環境づくりや待遇面の改善を計画的に進めることが求められる」と指摘。「あまり知られていないが、県の人材確保支援制度は国内トップクラス。特に中小企業の人材確保を支援する補助金や助成金は多い」と活用を呼びかけている。